ティッシュの会制作部より

メンバーの森嶌、出井に、それぞれ一公演ずつ、「観に行くつもりじゃなかった公演」を観に行ってもらう・・・というのが今回の主旨となります。
5月某日、某人気劇団の公演で挟み込まれていた大量のチラシ束の中から、われわれ制作部の琴線に触れたチラシを幾つかピックアップし、観に行ってもらう公演の候補としました。
公演を選定するにあたり、下記のような条件を設定しました。

一、今までに観たことのない劇団であること。
二、チラシにクレジットされている公演関係者に直接の知り合いがいないこと。
三、様々な理由により、"もともとは観に行くつもりがなかった"公演であること。

今回は森嶌のリポートです。前回の出井のレポートはこちらです。

観た公演


劇団未来計画TOP 第28回公演「ALL RIGHT!」
会場   in→dependent theatre 2nd
鑑賞日時 6月18日 17:00
料金   2500円(当日券)

ユニット名について

今回の企画により初めて鑑賞させていただく旨となったのだが、こちらの団体のお名前を聞いたのも初めてだった。
しかしこの劇団は今回で28回目の公演、結成から20周年というもはや老舗の領域にも踏み込んだ活動歴である。
20年前といえば、私が演劇の世界へ足を踏み出した頃だ。
そこから紆余曲折ありつつ今も演劇というメディアになんとか関わっている身としては、それだけの期間団体として活動を続けていくことの困難さ、粘り強さに敬意をはらいたい。

ユニット名である、「劇団 未来計画TOP」は「演劇カンパニー未来計画TOP」から屋号を改められたらしい。
マイナーチェンジである。
自動車などでは、2~3年に一度、小さな手直しや販売面でのテコ入れを図るためにマイナーチェンジを行うのとのことであるがこちらは、「20年目」にしてのマイナーチェンジなので、いかにこれまでの活動が安定的だったのかをうかがい知ることができる。
ちなみに、大幅な世代交代などを行う場合はフルモデルチェンジというらしい。

今回のユニット名変更の主なところは、「演劇カンパニー」から「劇団」にした点である。
カンパニー・company(kʌ'mpəni)には、((単数・複数扱い)) 人の集まり,一団;(俳優・ダンサーなどの)一座,一行;(社会的・宗教的な)集団,一門 などの意味がある。
演劇集団や演劇一行から劇団へとよりシンプルに改めることによって、来るべき次の20年へ向け邁進して行こうという気概を感じることができる。

情報宣伝について

まず、この度の公演を拝見するきっかけになったのが、このチラシである。
われわれ制作部によると、5月某日に行われた人気劇団の公演に挟み込まれていた膨大な数のチラシの中でとくに目を引いた5~6種を差し置いて最終的にこのチラシが選ばれた。
私の主観的な感想を述べるが、最初の印象としては、「どことなく80’s的」だった。
タイトルのフォントや配置、写真の雰囲気からも『シティーハンター』や『キャッツ♥アイ』などの、北条司氏的世界観に直結しているという印象を持った。
現在、若い世代には「80’s」のファッションやカルチャーは数年前から流行っているようだし、とりわけ『キャッツ♥アイ』などは、NHKの人気コント番組『LIFE』でもパロディとしてさかんに取り上げられていたので、時代に求められている空気感なのかもしれない。
そして俳優陣の役柄に徹したポートレート写真を配置した上に堂々の全身写真。

情報によるとこの一番目立つ配置のお二人は、劇団代表の辻田 鯉絵さんと「演劇カンパニー未来計画TOP」初期から参加されている川東 陽登美さんのようだ。
このお二人が物語の主要な部分を担うと宣言されているようで、観る方としては安心感がある。
演劇を見慣れていないお客さんにとってもやさしい作りとなっているのではないか。

会場へ

この日、昼からは超人予備校の魔人ハンター・ミツルギさんとともに昭和町の田辺寄席へ、月亭 文都さん一門会の落語を鑑賞しに行った。
12時に一心寺の前で待ち合わせ自転車で昭和町へ向かう。

寄席に辿り着く前に昼食を昭和町駅付近の商店街にあったとんかつ店で取ったのだが、店主はオーダーを受けてから肉を叩き下味を付けカツを揚げる、みそ汁は出汁きいてるし小鉢一品付いてるし、
そのとんかつ店のカツ丼が感動的に美味しかった。
そして桃ヶ池公園に隣接する桃ヶ池公園市民活動センターで15時過ぎまで落語を堪能した。
この、『新・じっくりたっぷりの会 月亭 文都一門会』だけでもひとつのトピックとして語れるぐらい盛り沢山な催しだったが文字数の関係上、今回は割愛させていただく。
そして終演後日本橋へ向かう。
休日の天王寺周辺は買い物客などでごった返し、走りにくかった。

開演のおよそ15分前に会場へ到着、当日券2,500円を支払うとチケット・整理券・チラシの束が入ったビニール袋をいただく。
このビニール袋に入ったチラシの束は、当日券のみのサービスのようだがたいへん良いと思った。
私はなるべく手ぶらで演劇公演に行きたいのだが、この大量のチラシの束に困らされたことは一度や二度ではない。
当日券は開演の5分前入場ということで、しばしロビーで待った。
受付スタッフのスマートな対応に案内。
さすが長年やっているカンパニーはちがうなあと密かに思った。

あらすじ

大阪で探偵事務所を営む任瀬貞也(まかせ・ていや)と姉の任瀬貞子(まかせ・ていこ)。
二人の元には様々な依頼が舞い込んでくる。
しかし貞也はただの探偵ではない。睡眠不足・疲労時にとくに鋭くなる「人の心の声を聞くことができる」という、特殊能力を持っている。
そのため、もともと警察官だった貞也は人の思いや裏側を知ることになり、その思いに答えられないもどかしさや、組織のあり方、融通のきかなさに失望し、退官して私立探偵となった。

そこに夫の素行調査を依頼に来る花柳真紀。
夫の花柳将人は会社でトップの営業マンで、子どもを授かった真紀にも優しくチョー・イケメンの非の打ち所のない優秀な夫である。
そんな将人が大阪に出張に出かけるのだが、同行する美良麗子との関係に不安を抱く。将人の部下であり、真紀の元同僚である麗子は社内でも名うての美女で、獰猛な肉食レディともっぱらの噂。

貞也と貞子は行きつけのカフェで依頼人とファーストコンタクトを取る。
そして契約につながる内容なら事務所に案内するという仕事の進め方をしている。
そのカフェでは任瀬姉弟の甥である桶井唯史が、何食わぬ顔をして依頼人の相談を盗み聞きして、社会勉強?させるという身内サービスなどもしている。

カフェの店主の炭田優子は学生時代からの夢であるカフェ経営を実現すべく努力を重ね、その夢を叶えたのだがアラサーで独身というやや寂しい状況に陥ってしまった。
寂しさを紛らわすため猫のジョージをペットにして店で自由にさせている。
ジョージのおかげで猫好きの客が訪れるため店の経営状態は悪くない。
この猫、ジョージはオス猫で優子にたいし飼い主以上の想いを持っていて、密かに優子に想いを寄せている貞也へ常に威嚇的な態度を取っている。
貞也の特殊能力は動物相手でも有効なようで、ジョージとも会話をしているがもちろん優子にはわからない。

大阪へ出張した将人と麗子。
麗子はあわよくば将人と深い関係になろうと目論んでいるが、将人はまったく与しない。業務が終わったあと、飲食など共にすごして二人の距離を縮めようと麗子は試みるが、将人は夜間に行われるセミナーに参加するからと麗子と別行動を取ろうとする。
仕方なく一緒にセミナーに参加する麗子。

一方、任瀬姉弟・真紀・ジョージ・唯史、一行は真紀の調査依頼のため変装してセミナー会場に乗り込む。
そこで、貞也は花柳将人もじつは能力者であったという驚愕の事実を知ることとなり・・・

感想

  • セミナーの主催者、豪金太郎がピコ太郎氏をモチーフにしているのだろうという怪しさ、インチキ臭さ。

  • しかしその「セミナー」で語られる内容は妙にリアルで、まさにキラキラ系のひとたちが言いそう支持してそうな内容で正直聞き入ってしまった。
    ひょっとしたら作家さんは本当にこの手のセミナーに参加したことがあるのではないか。

  • ラストに紙吹雪が振るのだが、もっっすごい量で、切り抜かれたひらがな・漢字・アルファベット・数字、ひょっとしたらハングルやアラビア語くらいも混じってたかもしれないが、とにかく凄い量だった。皆さんの、その労力と気合に感動してしまった。

  • 当初チラシを拝見したときは任瀬貞也役の辻田 鯉江さんを、男性と思っていたのでじつは女性と知り驚いた。
    完全にだまされていた。
    そして全てのキャストが女性と知りさらにだまされた。このカンパニー自体、女性のみで構成されていると知り再度驚いた。

  • 全体の印象としては、宝塚や、今はなきOSKのような歌劇団がフォーマットとしてあると感じた。セリフにジェスチャーが様式的に入る。
    それがシステマティックに、法則性があるように見えたので様式美としておもしろかった。

  • ストーリーとしては、ひょっとしたら描かなくても良い人たちもいたかも知らないが、キャラクターとしての魅力が豊富でいなくてもいいとは全く思わなかった。

  • 現実の二段上くらいを描いていると思った。劇場に来てまで現実的なことを見たくないと思う人がいる以上、当然必要なことであり、手法であると思った。

  • 全員が「やれている人」で私たち、私からとても遠いところにいる人達だと思った。

  • 発声・滑舌が素晴らしく、途中でその動きも然ることながらアニメーションを鑑賞している感覚にわずかな時間だったが本気でおちいった。


※ 本文中に「今はなきOSKのような」という表現がありますが、2004年の近鉄あやめ池遊園地閉園頃に解散したと思い込んでいました。数カ月後には有志により再結成されており、現在も活動を続けておられます。
http://www.osk-revue.com/